杜仲Q&A question and answer

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杜仲とはどんな植物ですか?
杜仲(Eucommia ulmoides Oliver)は、中国四川省原産の雌雄異株の植物であり、成木は高さ20mに達する落葉性蕎木です。また、1科1属1種の非常に珍しい植物で、6500万年前から存在し、氷河期を生き抜いた、「生きた化石」と言われるほどの貴重な木です。
杜仲の歴史は?
杜仲は、1600年前の中国最古の本草書「神農本草経」において、無毒、多服久服しても人をそこなわない上品(じょうほん)に分類。また、400年前の季時珍著 「本草綱目」では、その修治、性能、効力、用法が記載されるなど、由緒正しい漢薬として知られています。
杜仲の樹皮は健康にどういいのですか?
杜仲の樹皮に含まれるリグナン成分は、「がん予防」「抗ストレス」 「更年期障害」「血圧降下」「滋養強壮」など、
現代人 にとって有用な効果か証明されています。
なお、滋養強壮剤などの数多くの医薬品に、この杜仲樹皮のエキスが配合されています。
杜仲の葉は健康にどういいのですか?

杜仲の葉に含まれるゲニポシド酸などの固有成分である杜仲葉配糖体が、血管内皮由来の血管弛緩因子(NO等)を活性化し、また副交感神経(ムスカリン受容体)に作用し、平滑筋を弛緩させ、血流抵抗を低下させて、血圧を下げる効果が確認されています。この働きは、他の血圧に良いとされる特保成分とは、全く違った作用メカニズムです。

また、血圧に対する効果の他にも、動物試験において、杜仲葉エキスには「肥満」や「血中脂質(コレステロール・中性脂肪)」、「内臓脂肪蓄積」、「インスリン抵抗性」を改善する効果や、「アディポネクチン(善玉アディポサイトカイン)」を増加させる効果があるなど、トータル的に「メタボリックシンドローム※」に対する効果が期待出来ます。
なお、杜仲の葉は、杜仲茶などに加工され、健康食品として市販されています。

※メタボリックシンドローム(代謝症候群)

ウエスト周り(内臓脂肪)、血圧、血糖、中性脂肪、コレステロールなどの代謝関連因子の「やや高め」が重なった状態であり、各々の数値はそれほど高い値ではなくとも、この因子が重なると、動脈硬化が進み、脳梗塞、心筋梗塞などの重大な病気を重大な病気を引き起こすリスクが飛躍的に高まります。

メタボリックシンドローム診断基準(2005年4月日本内科学会)

(1)ウエスト周囲径
男性85cm以上、女性90cm以上(内臓脂肪面積100㎠以上に相当)
(2)血圧
最高血圧130mmHg以上、最低血圧85mmHg以上のいずれかまたは両方
(3)血清脂質
中性脂肪(トリグリセリド)値が150mg/dL以上
HDLコレステロール値が40mg/dL未満のいずれかまたは両方
(4)空腹時血糖値
110mg/dL以上

上記(1)と、(2)~(4)のうちの2項目以上を有する場合にメタボリックシンドロームと診断されます。

地球環境にはどう役立つのですか?

杜仲はトランス型のゴムを作る植物として知られています。このゴムは普通のゴムとは違って、プラスチックのような堅さであり、酸アルカリに強く、絶縁性の高い素材で自動車の内装品やタイヤ、医療用のギプスなど工業原料としての利用が期待されています。

杜仲の原産地である中国の中央部の黄土高原にはこの杜仲を沢山植えてゴムを作ろうとするプロジェクトが進められています。この退耕還林事業では杜仲の森林を作り黄土高原の保水力を上げて黄砂などの発生を抑制し水源を確保するといった目的と杜仲の落ち葉などを利用してゴムを作り出すといった壮大な目的を掲げています。
黄土高原は数千年前まで象の居た豊かな森でした。古代の中華文明はこの森林を破壊することに成立しました。

しかし、現在の中国はその森林を更に取り戻し東アジアの生態系を安定させる手段として取り組んでいます。
この研究は中国の大学や研究所,日本政府などが関与した温帯アジアの炭素循環型社会の確立のためのプロジェクトとして、杜仲の所有する遺伝子の解析や機能性の解析をすすめ実用化を目指しています。

  • 「杜仲ゴム産業化へ向けて大きく前進」

    独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構のプロジェクトとして、日立造船株式会社と当会理事の大阪大学名誉教授小林昭雄や中国西北農林科技大学教授蘇印泉らとの共同研究により、杜仲種子からの微生物を使ったゴム精製の技術開発が進められています。 杜仲ゴムは自動車の内装品やタイヤ、医療用のギプスなどの原料として利用が期待されています。

  • 「杜仲植林による地球環境保全活動展開中」

    中国政府の環境保全政策である退耕還林事業の一環として、当会理事の中国西北農林科技大学教授蘇印泉らが中心となって、中国中央部の黄土高原の砂漠化防止のために杜仲の植林が進められています。黄土高原の保水力を高めることで、黄砂飛散抑制にも杜仲が一役を担います。

その他に杜仲はどのように利用されていますか?
トリ、ブタ、ウナギなどの飼料に杜仲の葉を混合して利用されています。これにより、コレステロールなどの脂肪分の少ない、引き締まった肉になることが証明されています。
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